受け継がれてゆくもの

友人のお母様が、天国へ旅立ちました。
私も18歳の頃から存じ上げている、素晴らしい方で、享年96歳でした。

ご自宅で、最後まで看取られました。

次の日にご自宅に伺いました。
お母様が残された言葉だったり、
想い出だったりを、ご家族や友人、
お手伝いされていた皆さんが涙や笑顔で語り合うのを、
隣の部屋で、目を閉じているお母様も、
何かご一緒に聴かれている気がしました。

私の印象に残っているのは、
とにかく強い、しっかりしたお母様。
でも、お家でのお姿はいつも、
お台所に立たれていたり、お洗濯をたたんでいるその背中。
そして、亡くなられたお父様のお話しになると、
嬉しそうに、満面の笑みで、
恋する女性の表情をされていたお姿です。

友人は、長年お母様と暮らしを共にし、
大変な時も、難しい時もあったと思います。
母と娘とは、そんなものですから。

また最後の介護は、
想像をはるかに超える壮絶な戦いだったと知りました。

そんな友人のお母様のご葬儀の日。
ご家族達が、次々に想い出を話され、
最後に友人が挨拶をした時に、
あ、お母様は、肉体は離れて行くけれど、
形を変えて、友人に、そのご家族達に、
確実に伝えられる何かを残されたと感じました。
友人の周りにお母様の気配が重なりました。

目に見えるものだけでなく、
心の奥深くや、魂に受け継がれて行く何かがある。
家族とは、人が生きていくとはそういうものなんだと
その時に感じるものがありました。

そしてそれは、また次の家族達へ
繰り返し、形を変えて受け継がれ、
その人だけでなく、関わるまわりの人達の
光や希望になって行くのだ。
と、改めて確信しました。
悲しみの中で、何故か温かい気持ちになりました。

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